トップページ » 院長ブログ > 未分類 > 「椎間板ヘルニアによる腰痛」は誤診です

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2018-02-07

これは保険診療に関わる一例です。
腰痛で整形外科を 受診し MRI を撮影。
下記の検査結果で出された診断と処方は有り勝ちなことです。

「椎間板(髄核)ヘルニアがあり、それが神経に触って*1 の腰痛です。
また、腹筋と背筋が弱く*2、
バランスも悪い*3 ようなので、
腰痛体操*4 と
動的ストレッチ*5 を
理学療法室で指導して貰ってください。
また栄養不足*6 もあるので、
◯◯と✕✕はしっかり食べ、
また、体重が重過ぎる*7 ので、体重を減ら してください。
年齢も年齢なので*8
痛みが無くなることは難しいかも知れません。」

*1〜7まで生理学の教科書で否定されており
*8は言葉を変えた診療拒否です。各項目を詳述します。

1.髄核が末梢神経に触れても麻痺はあっても痛みは発現しない。
2.スポーツ選手は通常強靭な腹背筋と思われますが腰痛はある。
3.極端に腰の曲がった高齢歩行者を見かけます。疲労はしやすくても腰痛ではないので歩行可能。
4.筋力強化で痛みの減少は無い、と生理学の教科書で医師は学習しています。又2でも朗らかです。
5.関節可動域のある人でも腰痛はあります。例:高橋大輔(フィギュアスケート)
6.栄養が痛みに関係ないことも生理学の教科書に書いてあります。
7.痩せていても腰痛はあります。
8.年齢差は新陳代謝の低下であり髄核の漏出とは無関係。同年齢でも腰痛の有無はある。改善が見られない際のエクスキューズであり迂遠な診療拒否。医師法上診療拒否は認められていない。

 椎間板ヘルニアは俗称で正確には髄核ヘルニアです。
髄核はゴルフボールのリキッドセンターの様に
圧力を分散するゼリー状のものが椎間板の中心にあり、
椎間板繊維の破断により漏出します。

 医学的に痛みには「表層痛」と「深部痛」があり、
一般的には急性痛と慢性痛と認知されています。
これは「痛み」を伝達する神経の種類が異なり、
伝達するスピードも差があります。
向こう脛を打ったときにはまず衝撃が表層痛として
Aデルタ繊維がショックを伝え、
時差があってC繊維が痛みを伝えます。
反対に擦り傷程度では気付かないことがあり、
他人に指摘されるまで気付かないこともあるでしょう。

 髄核ヘルニアは神経終末に触れていないので痛みでは無く、
神経周囲の血行が阻害され麻痺が起こります。
髄核が出やすい部位にカテーテルバルーンを設置し膨らませる
危険な実験が日本で実施され ましたが、
麻痺は起こっても痛みは無く、
バルーンが収縮すれば麻痺は収まったとの実験結果があります。
ゼリー状の髄核に比較しバルーンの刺激は強く、
つまり教科書で明確に否定されていたことが実験によって確認されました。

椎間板ヘルニアで腰痛です、との見解を耳にしたらその医師は専門医でもなく、
学会にも出席していない、と考えてください。

posted by 若佐 政儀 | 2018/02/07 - 12:05 |