トップページ » 院長ブログ > 未分類 > 固まる日本人

Weblog

2019-01-22

女力自慢
<庄内米博物館より引用>

健脚自慢の車夫は110kmを14時間半で駆け抜け、村の力自慢の女性が60kg×5俵300kg以上の米俵を背負って競う。
これが幕末前後に日本を訪れた外国人が驚嘆した日本人の日常の体力である。
当時の日本人は男性の平均は男性150〜5cm/55kg、女性145〜8cm/47kg程度。

人力車
<引用先不明>著作権の上の問題があればご連絡ください
Baelz
ベルツ

幕末、日本の各地に訪れた表形オランダ人のドイツ人医師ベルツが車夫の身体能力の高さに驚嘆したことを読者はご存知だろうか。
ベルツ一行を乗せた人力車は江戸から日光までの110kmを14時間半でたどり着いたという。
ウルトラマラソンなら長い準備期間とレースの後十分な休養があるが彼らはそれが日常なのだ。

庄内米博物館の展示にある女力自慢大会写真には実に60kg×5俵の米俵を背負う女性の姿があり、
その姿を模した人形が展示されている。重量は300kgはゆうに超えている。
それを背負う女性は力自慢とは言え明治の平均的な女性。
富国強兵、産めよ増やせよの子沢山の上、満足な食糧事情とも言えないあの時代の日本においての
平均よりも少し丈夫な日本女性の記録である。
同様の負荷を日本のJKにやらせても構わないと思える負荷では到底ない。

機械化の進んでいない時代に幼少期から体を使い続けたから、との推測も成り立つが、
それにしても現代人の体力低下は異常である。

動物の身体能力はどんな環境で育っても一定の能力がある。
人間だけが落ちているのだろうか?

実際に近年のトップアスリートは競技力アップのために封印された能力が出るようトレーニングを行う。
封印されているのは筋肉の性能であるのだが、その封印は乳児期の内に「善意」によって行われている。
その結果、身体能力は言うに及ばず、肥満、花粉症や鬱などの不定愁訴の大半と内股をはじめとする姿勢の異常、
発達障害や痴呆、極端にストレス耐性が低いが故の校内暴力の頻発。

特にこの封印は子育ての知恵を断ち切られた団塊世代の孫達に牙を剥き始めた。

「地獄への道は『善意の石畳』が敷きつめられている」。
自らの善意によって我が子や孫の健康と才能が封じられてしまうと聞けば
気にならないだろうか?

それは新生児期に遡らなくてはならない。

医療人は当然既知であるとして、介護職にある方々は
高齢者で至極当たり前に起きている現象が新生児でも起こっている。

その現象は「筋肉の石灰化」である。
石灰化は「二ヶ月間自力で筋肉を収縮しないでいると動けなくなる」と言う。
ギプス固定で関節が動きにくくなった経験のある方はおられると思う。
二週間もすれば非常にぎこちなくなる。

筆者も膝の人体の再建手術を経験し、90日程度のギプス固定をした結果、
膝が90度以上屈曲出来るようになるために半年近くを要し、
無理なく正座が出来るためには5年程度必要だったが、
今の常識では考えられない処置ではある。

勿論「結晶化」すればレントゲン写真に写るが、
粘液状態では写らないため「異常なし」とされている。

そもそも人の体は細胞と言う水の袋の集合体であり、
必要に応じて骨の内部が石灰化して固まり、
効率よく体重を支えられるように対処しているに過ぎない。
なので固い体はそれだけで既に異常なのだ。

余談ながら、昨今高齢者で問題になっている「骨粗鬆症」は
カルシュウムを摂取しても吸収しないので改善は難しい。

カルシュウムの必要量は既に石灰化した筋肉中にあり、
吸収する必要は無い、と腸粘膜が対処するので吸収できない。

そのために重度であれば静脈注射によって補給している。
本当に改善したければ石灰化を解消するしか無い。

さて、乳児期に何が起こっているのか?
それは首が据わる三ヶ月間の内に起きている。

横突起

つい最近も2歳で言葉の出ない幼児の腰を触診させて頂いた所、
脇腹から2cmも指が入らなかった。
正常であれば痛がること無く真横から腰椎の肋骨突起に届くものなのだが、
平成生まれで指が入る人にはまだ出会ったことがない。

確かに首の座っていない新生児を抱くのは慣れていなければ躊躇する。
しかし、人類最初の母である「イブ」がアフリカの大地を旅立ったのは1万八千年前。
その頃の新生児はどう扱われていたのだろう。

どう考えても母親が両手もしくは片手で脇を抱えていたはずで、
それは現代の猿と同様の筈。

しかも外敵から逃げるためにはそのまま全力で走ったことだろう。
それで怪我をしたり死ぬのであれば、あなたも私もこれを読んではいない。

黒人選手は筋肉が柔らかく日本人には真似できない動きをすると言う。
何故違いが起こるのかは、その子育てにある。

大抵の母親はケープで新生児を包んで背負って仕事をする。
中央アフリカの裸族をみると帯状の抱っこ紐を輪にして乳児の脇に通し
胸で支えてオシメもしていない。

だがそれで腰を汚されるようなら母親失格と言われる。

あるアフリカに駐在する会社員の妻は雇ったメイドが
自分の子供をオシメもしないでケープで包んでいるのを見て、
「大小便を漏らされることは無いのか?」と尋ねると
「あなたはトイレに行きたくなったときに分からないのか?」と
逆に不思議そうに聞かれたと言う。

会話になっていないように感じるが、
自身のことと差がない位に背中にいる
新生児の力み方でどちらなのか
感じることができるので可能なのだろう。

少なくとも明治大正の親にはこの能力が会ったはずだが、
核家族化や狭い文化住宅に祖母が子守の手伝いに行くこともなく、
ましてや戦前の価値観を否定するよう育てられた団塊の世代が、
どうやって子育てのコツを覚える機会があったのだろうか?

団塊の世代は正常でもその子供は大家族でも無い限りその恩恵に預かれない。
ましてやその孫の世代は上記の不定愁訴を持ち、平均的運動能力は凋落の一途である。

それを既に体が固まってしまった現代日本人の母親に
アフリカの母の身体能力を要求するのは酷である。

ただ、解決策は簡単である。
オシメを換える度に腰を左右に振ってそのまま少し遊んであげる程度で済む。
仰向けに寝た新生児の腰を横にズラして少しくすぐる。
反対にもズラして少しくすぐると自力で筋肉を収縮させるので石灰化が防げる。

昨今、電動で揺らし続けるベビーベッドがあるが、側屈の機能があれば言うことは無い。
首が据わってしまえばもう自力で動いてくれる。
後は気にせず慈しむだけで良いのだ。
新たに石灰化に繋がるような打撲でも無い限り心配は要らない。

これだけのことで子や孫の不定愁訴の大半が防げ、
封印されないまま育つのであれば簡単なことでは無いだろうか。
是非周囲の大事な人達に教えてあげて欲しい。

来る元号に生まれる新生児が成人する頃、
「昭和や平成生まれの人達って腰痛や肩こりとかウツとか花粉症なんて症状があったらしい」
と言う会話が聞かれることを願ってこの稿を終わりたい。

posted by 若佐 政儀 | 2019/01/22 - 14:26 |