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2019-06-21

その昔、虫歯は必ず起こるもので、
歯槽膿漏も「加齢臭」とか言って
年齢とともに発生するものとされていたが、
どちらも対策は完璧に近いほど
出来るようになっている。

虫歯は感染症であり、
虫歯菌を口腔内に飼っている人が
齧ったものを8歳以下の子供に
与えなければ虫歯は起こらない。
また、歯石除去をサボったり、
喫煙によるタール除去を
そのままにしたりしなければ、
歯の寿命は格段に長くなった。

また、歯列矯正によって歯間の隙間を減らし、
食べかすを残さず、歯石化する確率を減らせば、
メンテナンスもかなり楽になる。

歯石や食べかすを残すことで起こる歯茎の炎症が発生しなかったら、
歯茎の減衰(歯茎が下がる)で歯根がグラつく確率も減る。

正しい知識の実行が歯を守り、
人生百年時代のこの日本の医療費の削減にも繋がる。
「山田宏議員 決算委員会での質問

【概要】高校以降殆ど実施されない
歯科検診を実施している企業は
2万人の母集団の中で一人辺りの
年間医療費が10万円少ない。
理由は口腔内は雑菌だらけであり、
歯周病があれば血液に乗って
体中に行き渡ってしまう。
歯周病は歯の問題だけでは無いので
政府として企業や自治体に歯科健診実施を
勧めるべきである。

【政府答弁】既に口腔衛生と病気の因果関係については把握しており、
翌年より簡易ではあるが歯科に置いて血圧測定を実施し、
口腔衛生との因果関係調査が決定している。

衛生面は政府は把握しているようなので、
後は国民の側が実施するだけだろう。

さて、機能面はどうだろう。

歯の発生と噛み合わせは乳幼児の育成に密接な繋がりがある。

【乳歯の生える順番】

6カ月ごろ 下の前歯(乳中切歯)が2本生えてくる
10カ月ごろ 上の前歯(乳中切歯)が2本生えてくる

人の体を右横から見ると、体幹を支える起立筋や腹筋が
縦長のCの字の様に繋がっているのが口の所で切れており、
前歯が合わさることで切れ目が繋がり、前後の不安定さが
減少することで「たっち」が可能になります。

また、前歯が一定のテンションで噛み合うことで、
上顎を押し上げ、上顎蝶形縫合を動かして、
蝶形骨のトルコ鞍に入っている脳下垂体を物理的に刺激し、
脳下垂体前葉から成長ホルモンの分泌を促します。

この極端な例が「巨人症」であり、
大抵の場合、下顎が受口で
前歯が先端で噛み合っています。
勿論それだけではありませんが、
巨人症の方の下顎はほぼ例外なく受口です。
古い所でジャイアント馬場選手。
baba
バスケの岡山選手
Okayama
ちょっと前のチェ・ホンマン選手
チェ・ホンマン

想像ですが本来の顔立ちでは無いでしょうが、
この下顎が成長ホルモンの過剰分泌を促したでしょう。
つまり前歯をしっかり使うことで成長ホルモンの分泌を
促すことも可能と思われます。

1歳ごろ さらに上下2本ずつ生えて(乳側切歯)、
上下で計8本になる

上下8本の前歯が噛み合うことで
更に蝶形骨の刺激が強くなり、
また、上顎骨は前頭骨にも縫合があり、
上顎に一定のテンションが掛かることで、
前頭前野の血行も促進されます。

1歳半ごろ 最初の奥歯(第1乳臼歯)が4本生えてくる

上下の奥歯が噛み合うことで筋肉の交感神経が刺激され
筋力が上がり、ヨチヨチ歩きがしっかりとして来ます。

2歳ごろ 前歯と奥歯の間の歯(乳犬歯)が生えてくる

犬歯の上下が接触することで犬歯誘導が起こり、
臼歯の噛み潰す動きがスムーズになり、
より難消化性の物に適合できます。

2歳半ごろ 奥歯(第2乳臼歯)が生えて、20本の乳歯が揃う

強く噛むための咀嚼筋が発達し、
側頭部まで伸びた筋膜が強く引っ張られ、
頭の重みを受け止める後頭前頭筋も
頭蓋骨を強く刺激し骨の成長が促され、
三歳頃までに頭蓋の縫合線が完全に繋がります。

この頃から隙間の無くなった脳は隙間がある頃よりも
血流が制限されるのか「三つ子の魂百まで」と称されるように
大きく人格が変わることが無くなります。
縫合の完成が一つの成長限界を作ると考えられていた
ある地域の特定時代には「トレパネーション」と呼ばれる
頭蓋骨に穴を空けることで脳容器に余裕を持たせ、
神託を受けたり、成長限界を突破できる、
と考えられていた様です。

5〜6歳から生え変わりが始まり、
12歳までに完了するのが一般的ですが、
稀に永久歯が不在で乳歯が
そのまま残ることがあります。
特に問題は無いものの、
乳歯は永久歯に比べ脆いので、
よりケアには注意が必要です。

posted by 若佐 政儀 | 2019/06/21 - 17:27 |