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2013-12-14

某所での質問に答えたので転載します。

お母様(89)の症状が何によって発生したのか確認したいところですが個人情報なので敢えてお尋ねしないで、一般的な概論論と機能面から見た考察を書かせて頂きます。

間質細胞は細胞の支持組織で造血にも関わる細胞で、間質性肺炎は通常排出不能な物を吸ってしまい組織が無毒化の為に取り込みます。肝臓のアポトーシスがその顕著な例です。また、体の中に弾丸などの破片があるならばコラーゲンがそれを包んで繭のように包み、影響を限定化します。しかし、異物には変わりないので周辺を圧迫し、血行障害が起こり、それを補う為に新生血管が出来て組織が膨らんで行く。その結果として肺胞の酸素吸収の邪魔をするので呼吸障害が起こります。尚、新生血管組織に「ガス交換機能」があるのか確認できておりません。

さて、ここまでは病理的なお話ですが、ここからが自律神経系の代償動作。最初から間質性肺炎の症状を強く発症されていた訳では無いと思われますが、幸いな事に昨年、キラウエア火山の火山灰を吸ったために同症状を患った男性の診察がございました。まだ60代の方で、体格も立派な方なので同様に考えるのは少し苦しいかも知れませんが、この方の症状から考察してみます。

結論から書きますと「代償動作による肺活量の減少」が主な原因であり、根本的な解決は出来なくとも余生を健康に過ごすためには、肺活量を機能的に増大すれば血中酸素濃度が上がり、肺による結合型酸素の量が増え、それで足りなければ溶解型酸素の量を増やせば、少し動いた程度でいきなり動けなくなるようなことはありませんので対策が尽きている訳ではありませんのでご安心を。

体躯に比較して胸郭がかなり大きく、動きも少ない。胸式呼吸のために動く肋骨はみぞおちより上の八番までは上下に動き、10番までは斜め上に開き、11-12番は横に開きます。

余談ですが理解に役立つと思われますので書きますと、「鳩胸出っ尻は嫁に貰うな」と言われております。これは出産する前提の女性は胸式呼吸が6割、男性は4割であるために非常に呼吸が浅く、酸素摂取量が少なく、蛋白同化に必要な酸素が足らず、軽い動きは有酸素運動で行うため普段から元気がないことになりがちです。出っ尻は腰と骨盤の間の関節が屈曲し過ぎて姿勢が悪く、代償動作で頭がウエイトシフトのために前方にズレるので常に首の筋肉に負担が掛かり、腰痛や肩凝りを頻発するのでいつも機嫌が悪い嫁になる可能性が高いからです。また、この姿勢は漏斗胸を生み、肋軟骨の変形を作るので、更に肺活量が失われます。

さて、肋骨の動きは肋軟骨の柔軟性と肋骨挙筋の可動性に掛かっております。60歳も過ぎますと肋軟骨が部分的に石灰化し始め、下手に動かそうとすると肋軟骨を傷める場合もあります。石灰化は誰にでも起こり、一旦起こると解消は難しいものの、胃薬の一種が50%の確率で排出に役立つとのこと。ただし胃酸抑制剤なので消化不良を起こす可能性がありますので、服用中は消化剤の併用が必要です。

肋軟骨の可動性を出す方法は色々とありますが、適応できるかは骨密度と石灰化の進行状況によります。運動できない以上、骨密度の低下は進んでいます。最近は薬で強化する方法もありますが、運動を伴わないのでは骨の柔軟性が失われ、逆に硬質化で折れやすくもあります。

また、もしも姿勢悪化でウエイトシフトによって肋骨の可動性が失われているのであれば、少しでも姿勢が良化すれば線形で肺活量は回復します。それで反応の出ない閾値に達するかは症状を確認して見ないと判断はできません。

酸素が心臓まで十分に回っていない可能性もありますので、運動不足による毛細血管の廃用性退行が考えられますので、脈拍数を確認しながらの運動は必要と思われます。脚を自力ではなく他人に動かして貰うだけでも血行は改善しますので、擦る・曲げ伸ばしをするだけでも役に立ちます。血漿循環を改善するとより肺に血液が送られるので息苦しさが低下すると思われます。

以上は溶解型酸素を機能的に増やす方法ですが、酸素マスクを常用すれば結合型酸素(赤血球と酸素の結合)は増やせます。ですが循環している血漿量が少なければ酸素総量が足りていない可能性もあり、血漿量(総赤血球量)が増えない前提なら今度は溶解型酸素を増やす必要があります。

溶解型酸素とは酸素の分子が直接体内に入ることで、肺や皮膚、粘膜からも入って来ます。酸素の総量の2%程度ですが、これが血行障害を起こしている部分が新陳代謝をする上で非常に重要になります。よく「天気が悪くなる前は古傷が痛む」との話を聴かれたことがあるでしょう。これは「ヘンリーの法則」通りに溶解型酸素が低気圧によって減少し、酸欠による痛みが出ている症状です。なので、「ハンカチ王子」君によって一気に有名になった酸素カプセルに入ると30分程度で解消し、40分で飽和します。

カプセルは300万弱と高額ですが、自分で作ることも簡単です。棺桶サイズの密閉された空間を作り、医療用コンプレッサーとインフレーター(内圧調整)で50万位で作れます。大体1.3気圧で十分効果が出ますので、密閉型アルミサッシでも十分耐えられます。気密性が低ければコンプレッサーの能力を上げれば済むこと。

私は腕を粉砕骨折をした時に早期回復のために購入し、ハンカチ王子君のブームの際に処分しました。少々長くなりましたので一旦中断します。ただし、高圧治療は鼓膜の内圧を調整する耳下腺が詰まり易い方だと使用は出来ません。上げることは出来ますが下げると内耳の圧力が自力で下げられず耳鼻科で耳下腺の空気を鼻から抜いて貰わなくてはなりません。間質性肺炎は難病ですが、現在の状態次第ではあります無症状にすることは可能だとは考えております。

人の健康はX:機能・構造、Y:化学(栄養・毒物の摂取・排出)Z:精神(環境)の乗数で実体化します。ドクターはミクロの基質変化には着目しますがマクロの「動体としての人」には余り興味がありません。スポーツ医学に関わっておられる方はそうでもないのでしょうが、そんなドクターは病人の動体にあまり興味が無い。私はその狭間で生きてはおりますが、狭間だけに碌な人材が居ないもの事実。一般的には「病気でない=健康」だと考えているのでしょうが、私は健康だと言う人が40代で50mで7秒切れないのは何処かおかしいと思ってます。自然界に放置されたらまず死にますから。

posted by わかさブログ管理者 | 2013/12/14 - 11:32 |